みちのく金融マンのつぶやきブログ(旧「メタセコイアの宿り木で」)

みちのくを拠点に生活している金融業界歴十数年のサラリーマンです。心と身体を休めつつ、はんなりとした日々を送っています。

新型コロナウイルスのパンデミック期間(本年1月~3月)におけるマーケット・ボラティリティ

先月、国際取引所連盟(WFE)より新型コロナウイルスパンデミック期間におけるマーケット・ボラティリティ(株価騰落率ではないことに注意。また、対象はデリバティブ市場ではなく現物市場のみ)について分析していたので、その概要をここで示す。

  • 新型コロナウイルスパンデミックが起こり欧州での感染拡大が続いていた2020年3月は、株価下落を防ぐための取引所閉鎖や空売りの禁止といった従来手法も効果がなく、グローバルで時価総額は前年同月比で9.2%も減少
  • 個別にみると、2020年3月はB3(伯サンパウロ証券取引所)では前月比275.6%増、アルゼンチンのブエノスアイレス証券取引所では同151.8%増、ジャカルタインドネシア証券取引所で同150%増となった一方で、中国の深圳証券取引所では同14.8%増に止まった。内訳等の詳細については、【下グラフ】を参照。
  • また、同レポートにあっては2020年上半期の流動性を前年同期と比較したメディアン・シンプル・スプレッドという手法(MSS;売り/買いのスプレッドから流動性を導き出す)を用いて分析も行っているため、興味がある方は下記リンク先からご覧いただきたい。なお、これによれば、新型コロナウイルスの伝播が始まった本年2月には特定の地域・セグメントでスプレッドが徐々に広がり始め、同3月にはすべての地域・セグメントでスプレッドさらなる拡大及び流動性の低下が併せて起こっていることが読み取れる。

 

<各取引所における本年1月~3月のマーケット・ボラティリティ推移>

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WFE_MarketVolatility

出典)WFEウェブサイトに掲載されたデータをもとに、筆者にて作成・一部加工。なお、本データにおいてアジア・パシフィック取引所の中にJPXグループ(東証)は含まれていない。

 

参照)WFEウェブサイト

focus.world-exchanges.org