みちのく金融マンのつぶやきブログ(旧「メタセコイアの宿り木で」)

みちのくを拠点に生活している金融業界歴十数年のサラリーマンです。心と身体を休めつつ、はんなりとした日々を送っています。

現代の赤毛組合

アルバイトでやっていたのは実は犯罪の加担作業だった。まさか、こんな小説のようなことが現代の日本で起こるとは。

 

ことは、昨秋佐賀県のとある場所にアルバイトばかり数十人(時給900円)がかき集められ、名簿を書き写していたことに遡る。 実はそこで行われていたのは、佐賀県と縁もゆかりもない大村愛知県知事のリコール署名の捏造作業だった。

この事件を聞いてまっさきに思い出したのが、名探偵シャーロックホームズの「赤毛組合」の物語だった。「自らの赤毛に自信があると思う者、募集」という新聞広告を見た青年が指定の場所に出かけていくと、見事採用され、破格の給与(週に4ポンド)で日がな一日百科事典の書き写しを命じられる。そして青年が慣れたころ、突如として赤毛組合は解散してしまう。そう、彼を雇った連中の目当ては青年ではなく彼自身の不在そのものだったのだ(ネタバレを避けるため、詳細は割愛)。

 

書き写している対象が百科事典と名簿と異なっているとはいえ、ほぼ赤毛組合の話と筋書きは一致する。そして、両者に共通するのは事件の異常さであり、目的の不明さだ。今回は大村愛知県知事のリコールを成立させたかったにしても、その手法も然り、資金源はどこなのか県警は徹底的に突き詰める必要がある。というのも、リコール不正は地方における民主主義そのものへの挑戦に他ならないからである。

最後に、赤毛組合の物語中のシャーロックホームズの言葉を以下に抜粋する。 

「世のなかでなにより不思議な、なにより異常な出来事というのは、往々にして、大がかりな犯罪というより、むしろ小さな、しかも場合によっては、はたしてほんとうに犯罪が行われたのかどうかも疑わしい、そんな犯罪に結びついていることが多い。」(創元推理文庫「シャーロックホームズの冒険」深町眞理子訳)

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