みちのく金融マンのつぶやきブログ(旧「メタセコイアの宿り木で」)

みちのくを拠点に生活している金融業界歴十数年のサラリーマンです。心と身体を休めつつ、はんなりとした日々を送っています。

作り手の矜持

前職では金融商品を作っていた。と自己紹介すると、「えっ、金融商品を作るってどういうこと?」となり、説明に四苦八苦したことを思い出す。農家のように野菜や果物を見せたり、メーカーのように自社製品を見せるわけにもいかないし、医者や歯医者のように属人的な資格を持っているわけでもない。目に見えないものを理解してもらうのはなかなかに難しい。

 

突き詰めれば、金融というシステム自体が人間が作り出した一種の想像物である。例えば、1円玉は原材料と鋳造費用等を加味すれば1円よりずっと高い価値を有しているし、1万円札は逆に1万円もかからず製造できる。なのに、1円玉は1円として、1万円札は1万円として世間では流通している。これは、皆が「そういう価値がある」と認めているからである(逆に価値があると認められないと、経済が破綻したジンバブエのようになる)。金融は、信頼があってこそ成り立つシステムなのだ。

 

普段は目には見えなくても、いざというときにお客さまの役に立ち、お客さまの信頼に最大限応える金融商品を提供する。これは作り手として十数年、私が心がけてきたことであり、これからもその気持ちは忘れずにいたい。