みちのく金融マンのつぶやきブログ(旧「メタセコイアの宿り木で」)

みちのくを拠点に生活している金融業界歴十数年のサラリーマンです。心と身体を休めつつ、はんなりとした日々を送っています。

日本銀行によるETFの貸付け推移(開始来~2020年10月迄)

2020年6月12日の制度開始以来の日銀による指数連動型上場投資信託受益証券(ETF)の貸付け推移は、以下の通り。(注:次回からは、日銀によるETF/J-REITの買入れ推移とともに原則月末又は月初に公開することといたします。)

  • 日銀によるETF貸付け(※)状況について、2020年10月単月の貸付回数・総額は11回・2,177億円と制度開始以来最高となり、これまでの累積貸付け額は2,695億円(47回)となった。内訳等の詳細については、【下グラフ】を参照。
  • また、10月末時点のETF貸付残高も前月比1,446億円増の1,858億円と大幅に増加し、ともに過去最高を記録。これは事前に接戦が予想された米国大統領選挙と本邦企業(3月期決算)の中間決算発表が重なる時期でETF保有者等におけるマーケットボラティリティへのヘッジニーズが高まり、本制度を利用した先が多かったためと推測される。

※ 現時点(2020年2月17日選定)におけるETFの貸付対象先は、以下の12社。 日本取引所グループ東証)が別途公表している国内籍ETFの指定参加者(「管理会社(ETFの運用会社)が公表する対象となるETFの設定・交換の条件(金銭交換型も同様)に基づき、管理会社との間で現物株とETFのやりとりを直接行うことができる証券会社」を言う。)は、こちら。また、金融庁が別途公表している高速取引業者(俗に「HFT」とも言われる)登録一覧(2020年11月14日現在の登録業者数は56社(総登録数65のうち欠番は9、13、29、31、42、44、54、57、及び59。なお、22のCitadel Securities (Hong Kong) Limitedは関東財務局ではなく金融庁本体による登録))は、こちら日銀から公表されているのは日別の新規貸付額のみで、貸付対象先の内訳がないためどのようなプレーヤーがどれだけ実弾(ETF受益権)を保有しているのかまでは分からないものの、実際のETFの値付けに深く関与しているHFT全体の動き・トレンドを見ることができるという点で有意義ではあろう。これらの情報を総合して筆者が作成した本ETF貸付制度の具体的なフローは、下図の通り(理解が十分でない個所もあるとは思いますがご容赦ください。)。

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BOJ_ ETFlending

ETF貸付対象先12社

  ソシエテ・ジェネラル証券株式会社
  BNPパリバ証券株式会社
  JPモルガン証券株式会社
  ゴールドマン・サックス証券株式会社
  野村證券株式会社
  SMBC日興証券株式会社
  大和証券株式会社
  みずほ証券株式会社
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
  クレディ・スイス証券株式会社
  モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社
  日本証券金融株式会社

 

<グラフ:日本銀行によるETFの貸付け推移>

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BOJ‗Oct2020

出典)日銀ウェブサイトに掲載されたデータを参考に、筆者が作成。なお、表中にETFの貸付け金額で「0(ゼロ)」とあるのは5,000万円未満のものをいう。

 

参照)日本銀行ウェブサイト

www3.boj.or.jp