師走に入り、街なかは一気に年末年始モード入り。西村担当大臣等から経済界への呼びかけもあって17連休が現実味を帯びる中、またもや妙な「自粛」ムードが出ているのが気がかりだ。
政府は各個人の判断に委ねると言うものの、ここでわが国特有の集団思考(=グループシンク)が幅を利かせることになる。グループシンクは、「空気を読む」とか「忖度(そんたく)」と言い換えてもあながち間違いではないだろう。ただ、これらの言葉を見てポジティブな意味合いを見出すことは困難だ。寧ろ、後ろ向きの意味合いが強い。政府として一貫した方針を出してもらわないと、グループシンクで形成された「(一見して)世論のようなもの」が独り歩きする可能性があるのだ。春先にメディアで話題になった”自粛警察”がよい事例だろう。そもそも警察(権)というものは国家暴力の発現なので一市民がこれを行うことは、基本的に違法なはずである。
隣国等のように追跡アプリを強制ダウンロードしなければ逮捕されるといった強権的な形ではないものの、目に見えない抑圧する空気・ムードというものは人々の心を荒(すさ)ませるのには十分だ。今や死語となったAKY(敢えて空気を読まない)・SKY(スーパー空気読まない)的な生き方を一部取り入れることも、心の平静を保つためには必要な世の中になってきたのかもしれない。
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