みちのく金融マンのつぶやきブログ(旧「メタセコイアの宿り木で」)

みちのくを拠点に生活している金融業界歴十数年のサラリーマンです。心と身体を休めつつ、はんなりとした日々を送っています。

国家とは何か

国家とは、「一定の領土とその住民を治める排他的な統治権をもつ政治社会」をいうとされます(出典:広辞苑)。戦後70年余りの平和な世の中を謳歌する私たち日本国民にとっては、至極当然のように見える概念です。

 

私・水曜日のクマが考えるに、国家とは人間の頭にしかない仮想の共同体です。今回、時の権力者(名前も書きたくもない)は「ロシア人とウクライナ人は一つの民族」との詭弁を弄していますが、それならば、歴史を遡れば聖書に言うところのアダムとイブにまでたどり着くこととなり、最終的にはロシアはおろか、地球は一つの国家(そもそもそれを国家と呼べるのか)に収れんすることになります。

ダイバーシティ(多様性)が叫ばれる現代において重要なことは、その社会における寛容さです。同じ地域にすむ多数の人々の異なる意見を尊重し、その中での最善の策を模索すること(これはアリストテレスのいうところの「賢慮」とも重なるかもしれません)こそが一番肝要です。我々人間の存在自体が不完全である以上、完全な国家などあり得ません。

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©いらすとや

我々の頭の中にだけ存在する国家(現実には国境線はありますが、飽くまで人為的に引かれたものであり原始の時代には存在していない)なのに、その完全化・具現化を求めるために、異なる価値観の間で激しい衝突が生じるのです。かの権力者の目には何が映っているのか最早知りたくもありませんが、それは幻想(もしくは妄想)というものです。寛容さをなくした社会には、人間が人間らしく暮らしていく要素など欠片も見出せるはずもありません。

 

「民主主義は最悪の政治形態といわれてきた。他に試みられたあらゆる形態を除けば」by ウィストン・チャーチル元英首相