先月26日、東証に新商品(ETN;Exchange Traded Note)が上場したため、備忘録的に書いておきたい。
- 三菱UFJ証券ホールディングス(ETN発行体としては野村ホールディングス傘下のノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイに続き2社目)が運用するETN3本(※1)が東証に新規上場。ETNは「指標連動証券」と呼ばれる社債券の一種(※2)で、ETF(上場投資信託)と異なり裏付資産を持たない一方、ETFでは連動困難な指標も投資対象とすることが可能。スキームの詳細については、【下図】を参照。
- 本ETNは、昨年12月に東証の有価証券上場規程等の一部改正により国内金融機関が海外で発行するETNを新たに受託証券とすることが可能となったこと受けて開発(※3)され、三菱UFJ証券ホールディングスは自らの信用力(R&I:AA-、JCR:AA)で以ってETNを新たに発行することで、収益の多様化・拡大化を図るものと推測される。
※1 「スマートESG30女性活躍(ネットリターン)ETN」、「スマートESG30総合(ネットリターン)ETN」及び「トップシェアインデックス(ネットリターン)ETN」の3本。なお、内国有価証券と同様の取扱いとする(=外国証券取引口座開設は不要)ため、野村と同様に日本版預託証券(JDR)形式での上場。
※2 分類的には社債券に該当するため、ETFとは異なりインサイダー取引規制の対象商品である。また、前述のとおり裏付資産を有しないため、例えば、発行体がクレジットリスクなどによって破綻してしまった場合にはETNは当然に紙くずとなる。(かつて、大阪証券取引所には有担保型ETNの規定があり、これに拠れば紙くずとなることはなかった(ただし、上場商品はゼロ)ものの、2013年の東証との市場統合の際に当該規定は引き継がれず無担保型ETNのみとなった。)
※3 この点、既に24本(12月6日時点)のETNを上場する野村は自らが設立した海外金融機関を通じて海外で発行するETNを受託証券としている。
<図:本ETNの発行スキーム>
出典)日本取引所グループウェブサイト及びEDINETに掲載されたデータをもとに、筆者が作成
参照1)三菱UFJモルガン・スタンレー証券ウェブサイト
参照2)EDINET(3ETNに係る有価証券届出書)
参照3)NEXTNOTESウェブサイト(野村のETN)
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