みちのく金融マンのつぶやきブログ(旧「メタセコイアの宿り木で」)

みちのくを拠点に生活している金融業界歴十数年のサラリーマンです。心と身体を休めつつ、はんなりとした日々を送っています。

投資の羅針盤

「貯蓄から投資へ」。

戦後の証券民主化運動を経て、貯蓄一辺倒の国民の行動様式を変えようと過去何度も使われてきた言葉だ。最近では金融庁厚生労働省がNISA、ジュニアNISA(→終了が決定)、積み立てNISA、iDECOなど色々な税優遇商品を投入したものの、未だ国民の間に広く根付いたとは言い難い。

 

思うに、国民の側にも相当な覚悟が必要なのだ。

これまで預金すれば元本が保証され銀行の責任で利息(平成の初めまでは物価上昇率よりも高かったため投資行動としては正解だった。また、ペイオフは一金融機関あたり1,000万円まで)が付いていた。これが投資となると、責任はすべて自分が負い、そもそも元本保証などはない。これまで監視員のいる室内温水プールで泳いでいたのが、いきなり監視員もなしに海で泳げと言われているようなものである。

これは相当に怖い。

 

政府や金融業界は「海で泳ぎましょう」ではなく、「海で泳ぐメリット」を積極的に説くべきだろう。これまで半世紀続けてきた国民の行動様式を変えるのは、並大抵のことではできない。

昨年の老後資金2,000万円問題のような脅しは論外だが、「人生100年」を見据えたときに、目指すべき先=投資の羅針盤があれば海に漕ぎ出す勇気もでてくるはずである。