みちのく金融マンのつぶやきブログ(旧「メタセコイアの宿り木で」)

みちのくを拠点に生活している金融業界歴十数年のサラリーマンです。心と身体を休めつつ、はんなりとした日々を送っています。

登山⑱_和賀岳

古来より修験道の山・マタギ(狩猟を生業としてきた人≒猟師)の山と知られた和賀岳(別名:阿弥陀嶽)に行こうと思い立ったのは、ある初秋の朝。珍しく和賀山系が晴れていたので、「このタイミングしかない!」と急いで車を走らせる。

 

県道1号線の山伏(やまぶし)峠を抜け、和賀岳・高下岳(こうげ)登山口のある麓の高下集落を目指す。県道沿いの大きな案内看板に沿って林道を遡ること20分ほど、漸く和賀岳登山口(1番目の写真)に到着。この日は予めガイドさんから相当厳しい登山になることが分かっていたため、慎重に装備に着替える。登山届のメモ欄に、「本当にしんどかった。。。」との走り書きを見てブルっとするものの、気を入れなおして出発。

最初は他の山と同様に薄暗い杉林が続くが、途中で見事なブナ林へと変わる。急登となでは言わないものの、それなりの上り坂が延々と続き徐々に体力を奪われる。1時間ほどすると、高下岳と和賀岳との登山道が分岐する高下分岐(2番目の写真)に出る。時間も限られているので、一休みしてすぐに左側の和賀岳登山道へ。

暫くすると猛烈な下り坂となり、「えっ、これ今までの貯金がなくなるじゃん」と思いながらもひたすら下る。下に見えてきたのは、ドドドドドドドドドーと轟音を立てて流れる沢(3番目の写真)。綺麗だなーと思う暇もなく、踏み台となる石を投げ入れ、登山靴・靴下を脱ぎ、ズボンをまくりあげ、一連の渡渉(としょう、沢を渡ること)の準備。足を入れると猛烈な冷たさと見た目とは違う流れの速さにたじろぐ。ガイドさんから、コツを教えてもらいつつ無事に渡渉終了。まだ道のりは半分なので、急いで登山靴を履いて先を目指す。

 

渡渉が山場と思いきや、ここからがこの山の本領発揮。これまでに経験したことのない急登(4番目の写真)が延々と続く。ここまでで登山開始から3時間近くが経過し、初めてエネルギー切れ(登山家は「シャリ(お米の意)切れ」という)を起こしそうになったため、携帯食料を齧りながら登る。ひたすら登る。日が中天を越えてもまだそれらしい稜線に出ないので次第に焦りが出てくる。タイムリミットか、、、と思ったとき、ラストアプローチの入り口である通称「コケ平(だいら)(別名:天狗の踊り場)」(5番目の写真)に出る。よかった、ギリギリ間に合った。

ホッとしたのも束の間、あれよあれよという間にガスが出始めたため、急いで山頂を目指す。ここまで来て諦めてなるものか!!横から吹き付ける猛烈な風を受けつつ、一歩ずつ歩みを進めること20分ほど、遂に和賀岳山頂(1,439m、最後の写真)に到達。ガイドさんから、「おう、やったな」と言われた時には思わず力が抜けてしまった。残念ながら強風とガスが凄いため、滞在時間は休憩の5分のみで昼飯も食べずにそのまま下山の途に。まるで陸上自衛隊の踏破訓練みたく、食べながら・飲みながら、ひたすら前へ前へと進み続ける。

 

折り返しの渡渉を終えて高下分岐に向かう途中、今度は思わずむせるような激しい雨に遭遇。即座にレインウェアに着替えて体温を奪われぬよう注意を払いつつ、雨でぬかるむ登山道を慎重に進む。高下分岐に出たときには、自身の体力ゲージはほぼ空に。残る下り坂は転倒に気を付けて何とかクリアー。車に戻ったのは日没1時間前と、個人的にはかなり課題が残る登山だった。

注)ブログではサラっと書いているものの、この山はかなり過酷なので登山初心者は是非一考することをお勧めしたい。山頂やコケ平からのパノラマは美しいものの、登りだけで5時間の覚悟が必要だ。ここが修験道マタギの山と言われるのも首肯できる厳しい山ということがよく体感できた。

 

■備考:日本二百名山、花の百名山、東北百名山、岩手20名山

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Mt. Waga-dake

 

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